【書評】ヒロシの本「働き方 1.9 君も好きなことだけして生きていける」

昔「ヒロシです」のネタで一世を風靡した芸人ヒロシ。

テレビに出なくなり長い間忘れ去られていた? 彼ですが、現在ひろしチャンネルを配信する Youtuber として注目を集めています。

芸人兼ソロキャンプ Youtuber というのが、現在のヒロシの肩書きです。

そんなヒロシが書いた書籍「働き方 1.9 君も好きなことだけして生きていける」を読みました。

かつて芸人としてお笑いネタで爆発的に売れた時期に、バラエティ番組などにも出るようになり

瞬時に気の利いたことを言う能力や司会進行の能力なども求められるゼネラリストとしての世界が辛かったと言います。

彼は元々お笑いネタのスペシャリストとしての路線を追求したかったようですが、様々な要因がありそれが難しい状況だったようです。

ほどなくして、自らテレビの世界から身を引き世間的にはほぼ忘れ去られました。

しかし、現在彼は芸人そしてソロキャンプ Youtuber として活動しており、当時よりも自分に合った楽しい仕事をしていると言います。

かつて最も売れた時期の月収は 4,000万円ほどあったようで、その頃と比べれば月収も少ないけれども、自分に決定権がある現在の状況に満足しているということです。

働き方というものを根本から考えるきっかけとなる書籍ですので、働くすべての人に読んで頂きたいです。

この本、難しい表現を極力避けて書かれているので、すごく読みやすいです。斜め読みとかではなく普通に読んでも1日で読み終わります。

今日は、この本の内容ををレビューさせて頂きます。

【書評】働き方 1.9 君も好きなことだけして生きていける

働き方 1.9 君も好きなことだけして生きていける

印象に残ったところを、ピックアップして行きますね。

 同じ芸人の方と肩を並べてテレビに出ることに恐怖を覚えた僕は、精神的に病んでしまい、当時所属していた事務所に自分から「テレビに出ません」と告げることとなる。以来、仕事は激減し、僕は自分が住んでいたマンションから飛び降り自殺を図る直前まで追い込まれた。医師から「パニック障害」と診断された。

あれだけブレイクした芸人が、実はバラエティ番組が苦手でこれだけ追い込まれていたのは意外でした。本人的には、売れていても無理して我慢していたのでしょう。

 日本の企業はゼネラリストを重視してきたと思う。大企業の総合職に求められる人材がそうだし、出世して管理職になる上でも、そのほうが有利と見られていた。
しかし、今後は経営者といったごく一部の人を除けば、スペシャリストが求められるようになるのではないだろうか。その際、「職人2.0」という生き方が、その指針となってくると僕は思っている。

これは私も大企業にいたのでよく分かります。大企業は組織的に人材はほぼゼネラリストとなり、スペシャリストの数は多くありません。大企業だけでなく日本全体そういう傾向にあると言えるでしょう。

彼は今はスペシャリストが生きやすい世の中になっていると言います。Youtubeなどのメディアがあることで、一般の個人でも発信できるしマニアックな趣味などでもニーズがあればお金に変わる時代だからです。

 バランスは良くなくて、コミュ力も高くないのに、「何でも屋」を求める企業体質に合わせようと悪戦苦闘しながら、結果を出せない職人気質の人がいる。僕はそんな不器用な人に向けて、今までと違った働き方を提案したいのだ。

日本の会社の大部分がそういう体質になっていますね。職人気質の人は何も無理して組織に縛られずに生きる生き方があると彼は言います。

彼自身、かつてブレイクした時期はテレビ局など様々な関係者と仕事する中で、日本の一般の会社の中で仕事をするのと同じようなゼネラリストとしての振る舞いを求められ苦労したということです。そして、そこから抜け出して Youtuberとして活動している今、昔の自分と同じ境遇の人に訴えかけています。

 スペシャリストであろうとするからには、スペシャリストが求められている場に身を置くことが大切だ。武器1つでいきなりメジャー市場を目指さないことだ。

メジャー市場というのは、かつて彼がいたテレビの世界でゼネラリストとしての力が求められる場所のことですね。一方でスペシャリストというのは今の彼のソロキャンプYoutuber としての立場のように、ニッチな分野で活躍する人のことです。

スペシャリストが向いている人は、自分のようにメジャーの世界からは撤退してより自分に合う場所に行くべきだということです。

 インターネットの発達は、お客さんのごくごくシンプルかつダイレクトな関係を復活させてくれた。このシンプルな構造で仕事をしたいのであれば、客に直接伝えるインターネットの発信手段を持とう。

Youtube などのネットメディアを使えば、お客さんとダイレクトに繋がることができることを言っています。テレビによく出ていた頃は、自分とお客さんの間にテレビ局など色々な人が入ることで、お客さんとのダイレクトな関係はできなかったし、またお客さんの反応も分からなかったと言います。

これは私も大企業にいた頃に感じたことがあります。自動車部品メーカーで製品開発・設計を担当していましたが、B to B ビジネスで顧客が自動車メーカーだったので、エンドユーザーとの接点はなく反応が全く分からない状態でした。仕事上の関係者が多いとどうしてもそうなるのだと思います。

 ダメな人間が何かをやっていくには、まず自分の身の丈を知ること。僕は職人のような働き方が性に合っているし、組織を育てていく力はゼロだ。そのような人間はメジャー化、スケール化への浮気心を持たぬほうがいい。

彼は今自分が代表でマネージャー1人いるだけの会社として、芸人兼ソロキャンプ Youtuber をやっているのが一番自分に合っていると言います。スケール化には一切の興味が無いようです。

同じように、事業主や中小・零細企業の社長も色々なタイプがあると思います。スケール化が得意でどんどん拡大する人と、小さくやりたい人、自分のタイプに合ったやり方をすべきなのでしょう。

 人気のある動画の中には、出ている人がけっして美人やイケメンでもなければ、喋りがうまいわけでもないものがいっぱいある。

メディアに出ると言えば、昔は容姿が優れている必要がありましたが、今は良い時代でそれだけではなく、とりわけ好きを表現することができれば誰にでもチャンスはあるということです。

確かに Youtube を見ていると一昔前だと考えられないくらい、色々な趣味を持った人が発信しています。昔はマニアと呼ばれてしまった人々が発信することが普通の時代はやはりチャンスが多いのだと思います。

 そこで必要になるのが「あわよくば」の精神だ。「このタネを発芽させ、絶対に大成功させてみせる!」、そう意気込んで1つのタネを蒔いて育てるのではなく、「このうちどれかが大成功に至ればいいや」と、複数のタネを同時に蒔いて育てていく。1種類のタネを蒔くより成功率は高くなる。そして成功し始めたら、そこに水を集中させ、さらに茎を伸ばせばいい。

タネを蒔く

これはネット発信の収益化の特徴そのものだと思います。

ブログにしても Youtube にしても自分が発信したものの中で何がヒットするかは分かりません。ヒットするものの方が少ないでしょう。でも、だからこそ手数が必要で、何かうまく行きそうになったらそこに労力を集中すべきなのでしょう。

 僕は無言実行でこっそりやる。ダメだったらこっそりフェードアウトする。こうすれば何かを始めることのハードルがうんと低くなる。いかにすればラクに行動を起こせるかが大切だ。だって行動を起こさないことには何も始まらないのだから。

ハードルを下げた方がやはり行動しやすいということですね。

無言実行というのは、「まずとりあえずやる」という初動を作り出すのに良いと思います。誰にも知られずにこっそり初めて、うまくいかなったらこっそり辞めるというのは全然ありだと思います。
成功している人がいつも成功しているように見えるのは、失敗しているところが見えないからなのかも知れません。

 人は成功すると、その原因をあれこれと語りたがるが、全て後付けだ。そんな評論家気取りの分析などは気にしないことだ。後付けの成功原因を真似たところで、成功しないこともたくさんある。
そんな法則を求める前に、やりたいことを全てやればいい。試行錯誤を繰り返すことが唯一の成功の道だ。

世の中いかに結果論がはびこっているかという本質的なことだと思います。

確かに、結果が出た後に、理由をどうのこうの分析して最もらしく言うことは簡単なことです。逆に事前に正確な予測をすることはかなり難しいです。

ネットの世界で金脈を見つけたくてもどこにあるか分からないです。だからこそ手数が必要で、その中で試行錯誤を繰り返してたまたま上手くいくものが出てくるということなのでしょう。そういう意味で全ては結果論に過ぎないと言っているのだと思います。

 結局、行動することを制限する決めつけやルールは、邪魔以外の何者でもない。

自分自身の思い込みや決めつけは、他人の評価以上にやっかいだと彼は言います。誰も正解を知らないのだし、試行錯誤をすることを自分で辞めてしまわないようにした方がいいということです。

 人生あと半分も残っているのだから、やっぱり無理はしたくない。これからの残りの人生も、嫌な思いはしないで好きなことだけして生きていきたい。

嫌な経験など何の足しにもならないということです。彼は昔大学に行きたくなのに通っていたり、ホストのバイトをやっていたりしたらしいですが、そういうストレスがあることから得られるものは何もなかったと言います。

これからの人生も現在のようにストレスがない状態で生きていきたいということです。

苦労が美化されがちですが、そんなものは幻想なのかも知れませんね。しなくてもいい苦労はしなくてもいいのかも知れません。

 実業家の堀江貴文さんが、これからの時代のビジネス座標軸として提唱しているものである。縦軸(市場)は上に行けば行くほどメジャーで、下に行けば行くほどニッチになる。また、横軸(収入)は右に行くほど稼ぎは大きく、左に行くと少なくなることを表す。

これからの時代のビジネス座標軸

彼自身は D→A→C→B と移って行きました。これからスペシャリストとして生きる人々は、上手のBを目指すべきということですね。
とにかくビッグになりたい人はAが合っていて、ストレスフリーを目指したい人はBが合っていると言えるでしょう。

 狙う客層は、自分と同じく、それが好きな同族だ。ニッチな市場の専門家というのは一朝一夕でなれるものではない。ただ、好きなものを突き詰めるのは苦痛なことではない。目先のお金を無視して、好きなことにひた走る。その結果としてお金がついてきる、というふうに考えたい。

彼が Youtuber として成功した本質です。Youtube は最初は収益化が難しいので、収益的な見返りがほぼない状態で投稿を続けることになりますが、そんなときに自分を支えるのは「キャンプが好き」という気持ちだったと言います。好きでなければ続けることはできなかったということ。そして、結果として後からお金がついてきたということです。

これはブログにも言えることですね。最初から稼ぐことなどできませんし、自分が扱っているネタが好きでなければ続けれません。そして、続けているうちに収益化がうまく行くこともあるというものですね。

 今後も何か新しいネットメディアが登場することはあるだとう。その時には、自分や自分の客層に合うか試してみて、これからの時代のビジネス座標軸のCからBに移動できるよう、収益化を強化することを考えていこう。

これも先にも取り上げた手数のはなしですね。何がヒットするか分からないから手数は打っておいて、上手く行きそうなら力を入れてやるべきということです。

 大して必要と思っていないのであれば、たとえ資格試験に合格できたとしても、身につくことはない。

サラリーマンでよくとりあえず資格を取るという人がいるけど、それが必要で目的がはっきりしていれば良いけど、そうでない場合は何も意味が無いということです。

これすごくよく分かります。資格マニアみたいな人って確かにいます。でも、その資格を取ってどうしたいのかはっきりしていないので、結局その労力って意味が無いんじゃないかと思ってしまいます。

 しがらみから脱する力を蓄え、ただの個となれ。そして、加速せよ。高速で動け。来るべき、個と個が結びつく時代に備えるために「Do it now! 」、今すぐやろう。

ネットメディアの発達でこれからは個人と個人が繋がる時代が来ると彼は考えており、それに向けて動くべきだということです。
今は副業が解禁になった会社も多いですし、個人で何か始めない手はないのでしょうね。

 社内の役職など、その社内でしか通用しないガラパゴスなカーストだ。これからは会社員だって、そんな名ばかりの肩書にしがみつくより、役職と関係なく、治外法権的に決定権を持つ個となることが重要になってくる。

会社という枠にとらわれても意味が無いし、副業も解禁されている時代なのだし、何か個人で決定権を持ってできることを始めた方が良いということですね。

これからの働き方について思うこと

これからの働き方について思うこと

この本を読んで、やはり「働き方」について考えさせられました。

簡単なことではありませんが、今は組織に属さずにストレスフリーな働き方を実現できる可能性のある時代です。

そのためには、 Youtube などのネットメディアを使った発信は必須と言えるでしょう。

彼の言うように、誰でも制限なく使うことができるネットメディアは、とにかくやってみた方が良さそうですね。

私もブログをいくつか運営しているので分かるのですが、確かに発信を続けることは楽ではありません。

でも、ヒロシも言うように自分が好きな題材を扱っていれば、好きだから続けられるということもまた事実です。

従来どおりの働き方のみで十分という方は、それを否定するつもりはありませんし、そのようにすれば良いと思います。

自分に合った働き方を見つけることが大事なのでしょうね、やはり。

まとめ

「働き方 1.9 君も好きなことだけして生きていける」について、レビューしました。

とても読みやすい本で、働き方というものを考えるきっかけになると思いますのでお勧めします。