私は、大企業(大手メーカー)で8年間、エンジニアとして勤務した経験があります。
機械系のエンジニアとして、製品の設計・開発をやっていました。
この記事では、メーカーのエンジニアの仕事のイメージが少しでも湧くように、シミュレーションと実験についてお話ししますね。
エンジニア(技術者)の仕事内容を解説! 大企業と中小企業・零細企業の違い
目次
シミュレーションと実験、大企業(メーカー)のエンジニアの仕事
シミュレーションと実験
モノづくりには、シミュレーションと実験が欠かせません。
それぞれどのようなものか説明します。
シミュレーションとは
シミュレーションとは、簡単に言えば模擬をすることで、PC を使って行うことが多いです。
シミュレーション(英: simulation)は、何らかのシステムの挙動を、それとほぼ同じ法則に支配される他のシステムやコンピュータなどによって模擬すること。simulationには「模擬実験」や「模擬訓練」という意味もある。
機械設計の場合、製品の一部分の形状を決めるためだけでも、けっこう複雑な計算をPC上で行います。
物理学の公式に基づいた計算です。
Excel で計算をする場合もありますし、Fortran などのプログラミング言語を使うこともあります。
また、特殊な解析ソフトを使うこともあります。
実験とは
実験とは、条件を決めて測定を行うことで、装置を使って行うことが多いです。
実験(じっけん、英語: experiment)は、構築された仮説や、既存の理論が実際に当てはまるかどうかを確認することや、既存の理論からは予測が困難な対象について、さまざまな条件の下で様々な測定を行うこと。
機械設計の場合、製品の一部分の形状をテストピースとして作って、それを使って次のような評価を行います。
・力を加える
・高熱を加える
・腐食環境下に置く
などです。
メーカーでのモノづくりで「シミュレーション」と「実験」をどう使うか
さて、メーカーでのモノづくりで、シミュレーションと実験をどう使うか? ということについてお話しします。
例えば、以下のような形状の鉄板の厚みを決めるために、シミュレーションと実験が必要なケースを考えてみましょう。
鉄板には力が加わることが分かっています。
すると、鉄板はこの力に耐えれるような厚みに設計しなければならないわけですね。
この厚みを決めるために、シミュレーションと実験を「シミュレーション → 実験」の順に行います。
想定される最大の力をはっきりさせて、それが加わる前提とします。
その力に持ちこたえれる厚みをシミュレーションで計算します。
こうして、計算の上では厚みが決まりました。
さて、厚みを決めたけれど本当にこの設計で良いのか? 確認するために実験を行うのです。
先にシミュレーションで決めた厚みの鉄板を、実際にテストピースとして製作します。
そして、実験装置を使って実際に力を加えます。
そして、目標とする力が加わっても鉄板が壊れないことを確認します。
想定どおりに壊れなければ、その厚みで決定します。
もし、仮にこれで壊れてしまったら、設計の考え方が間違っていたということになります。
厚みを決めるところからやり直しです。
シミュレーションの方法を見直すなりしなければなりません。
製品設計はシミュレーションと実験の両方で成り立たなければならない
モノづくりというのは、理屈・結果両方とも成り立たなければなりません。
理屈というのはシミュレーションのことで、結果というのは実験結果のことです。
先の例で言えば、テキトーにエイヤーで厚みを決めて実験してみて壊れなかったとしても、それだけではダメです。
成立していると言えません。
必ず壊れない理屈が必要なのです。
その理屈は「こういう計算をした結果、この厚みで大丈夫です」というもので
シミュレーションから導き出されます。
後追いでも、シミュレーションは絶対にやらなければなりません。
そうでなければ、なぜその厚みなのかという根拠を説明できないからです。
設計の根拠を説明できない製品を世に出すわけにはいかないのです。
さて、逆にシミュレーションでは成り立つのに実験だと壊れる場合もダメです。
いくら理屈の上で成り立っても現実的に壊れるということになるので。
その理屈が間違っているということになるなです。
シミュレーションからやり直しです。
このようにモノづくりは、理屈でも結果でも成り立たなければいけないのです。
まとめ
メーカーでのモノづくりに必要なシミュレーションと実験についてお話ししました!
エンジニアの仕事のイメージが湧きましたでしょうか?
エンジニア(技術者)の仕事内容を解説! 大企業と中小企業・零細企業の違い
どういうものか教えてもらえませんか?