私は、大企業(メーカー)で8年間、エンジニアとして勤務した経験があります。
現在は辞めて家業(とある士業)を営んでいます。
さて、エンジニア時代は技術力を磨いてきた私ですが、現在は新しい仕事を作り出すためにマーケティング的なことを行うこともあります。
今でこそ、マーケティングにも慣れてきましたが、最初はかなり苦労しました。
この記事では、大企業(メーカー)のエンジニアがマーケティングが苦手な理由についてお話しします。
目次
大企業(メーカー)のエンジニアがマーケティングが苦手な理由
大企業(メーカー)のエンジニアの仕事と、マーケティングは全然違う思考が必要です。
私が行っていた大企業での設計・開発などの仕事には型がありました。
一方で、マーケティングには型がありません。
型というのは、予測可能性に基づいた仕事のプロセスです。
大企業のエンジニアの仕事は結果を予測しやすいのに対して、マーケティングは結果を予測しにくいのです。
大企業(メーカー)のエンジニアの仕事内容
私は自動車部品の設計・開発の仕事に従事していましたが、仕事の仕方には型がありました。
製品がスペックを満たせるような形状や構造をまず予測します。
理屈の上で成り立つような形状・構造を考えるということですね。いわゆるシミュレーションです。
そして、実際にその形状・構造で製品の一部分のテストピースを作成して、実験でスペックを満たしていることを確かめます。
シミュレーション → 実験
の順番で業務を行い、両方ともでスペックを満たす必要があります。
シミュレーションでスペックを満たしていても、実験で満たさない場合にはシミュレーションがおかしいということになり、やり直しになります。
シミュレーション、実験の両方で成り立つようにする必要があるわけですが、とりわけシミュレーション
すなわち事前にしっかり予測できているか? という点を重要視します。
そして、予測どおりに製品ができることは割と多いです。
製品設計・開発は過去のノウハウの上に成り立つものであるため、予測精度も高いからです。
マーケティングの内容
さて、ここでのマーケッティングとは、市場でどんなサービスの需要があるか調べることを言うものとします。
私が家業に移ってからは、このマーケティングの大切さを知りました。
競合に対して差別化を図れるサービスを作り出さなければなりません。
そのために大切なことは、市場のニーズを探り当てることなのです。
ありきたりのサービスだと、競合の多くが既に参入しているので、過当競争に巻き込まれることになります。
そこで、探り当てたニッチなニーズも織り交ぜることで部分的に差別化を図るとともにリスク分散する必要があります。
しかし、このニーズを探り当てることが難しいのです。
どのようなニーズがありそうか予測を立てることは大切ですが、それが当たっているかは分かりません。
ですので、予測したニーズを満たすサービスを仮にリリースして、それが受けるか否か? 様子を見る必要があります。
そして、芽が出そうだと分かったら本格的にそのサービスに力を入れ、逆に芽が出そうになければそのサービスはやめるという判断をすることになります。
さて、先にも書きましたように、このニーズの予測というのがかなり難しいのです。
大企業のエンジニアの設計・開発のように予測精度は高くないです。
ですので、大企業でのエンジニアの経験に基づいてマーケティングをやろうとすると、だいたい壁にぶち当たります。
ニーズはそう簡単には予測通りには行きません。
結局試し打ちを繰り返して、トライアンドエラーで探り当てるしかありません。
予測が高い精度を持つ大企業のエンジニアの仕事とは違います。
まとめ
大企業(メーカー)のエンジニアがマーケティングが苦手な理由についてお話ししました。
大企業のエンジニアが行う設計・開発などの業務は、精度が高い予測ができるのに対して、マーケティングは予測の精度が悪いです。
予測精度が高い業務に慣れた経験は、マーケディングでは生きて来ません。
マーケティングでは、とにかくトライアンドエラーを繰り返すことが求められます。