大企業での仕事、誰が責任者か分からないプロジェクトからは逃げるのもあり

大企業は仕事の規模が大きいので、自分が所属する部署だけでなく他の部署との連携も大事になってきます。

自分の仕事を進める上で他部署の人を巻き込まなければならない場合、自分の上司とともに自分が責任者となって仕事を進めることになります。

具体的には打合せを開催して、他部署の関係者と合意を取りながら仕事を進めることになります。

また、他にも他部署が責任者であるプロジェクトに自分が呼ばれて参加しなければならない場合もあります。この場合は責任者は自分ではありませんが、協力するのは義務です。

さて、不思議なことに稀にではありますが、どこの部署の誰が責任者なのか分からない仕事が存在するのです。

この記事では私が大手メーカーのエンジニアだったときに、実際に経験したことをお話しします。

顧客の要望に応えるために複数の部署が連携

私は自動車部品メーカーにいたので、顧客は自動車メーカーでした。

私がいた部署はとあるシステムを構成する部品を担当しておりました。

ある時、顧客の要望に応えるため4部署にまたがるチームが作られたのでした。

①システムの開発を行う部署
②システムの設計を行う部署
③部品を担当する部署
④実験担当の部署

私が所属してきたのは ③部品を担当する部署でした。

部署

各部署2〜3人ずつで結成されたチームです。

いつも打合せを開催するのは、①システムの開発を行う部署でした。

主に顧客とのやり取りをするのも ①の部署だったので、私は ①の部署が主幹(責任者)となっているものとばかり思っていました。

トラブル発生したときの責任の押し付け合い

さて、その仕事は一度は数ヶ月という短期間で終わり、チームは解散となりました。

そのチームで作った技術を入れ込んだシステムを顧客に納品し、顧客はそれを開発中の車に搭載してテストを進めて行きました。

チームが解散して1年くらい経ったある日、私の元にメールで連絡が来ました。

それは、我々がチームで担当した技術が狙い通りに動作せずにトラブルが起こっているという内容のものでした。

その技術は、システム全体と一部品が関係するものだったのですが、部品は私がいた部署の担当だったのです。

トラブルの原因がシステムにあるのか?、それども部品にあるのか? という話しになっていきました。

そして、約1年ぶりにチームが再び集結することになったのでした。1年前とは明らかに違い、今回は後ろ向きな集まりです。

トラブルがあっての集まりなので、最初から空気がピリピリしていました。

他の部署は、皆私の部署の部品が原因だと考えていたようですが、私はこれに必死になって抵抗しました。

どちらに原因があっても不思議ではない状況だったからです。

そして、実際に1つ1つテストをして調査していくことになりました。その結果、残念なことに私の部署の部品にトラブルの原因があることが判明しました。

さて、通常ならばいくら原因が1つの部品にあるからと言っても皆で協力して問題を解決していくものです。

ただ、なぜかその案件については皆積極的に関わろうという姿勢を持っていませんでした。

私の部署の部品に原因があるんだがらお前たちで何とかしろ! と言わんばかりの態度も見せられました。

私も私で、そもそもこの案件の主幹は ①システム開発を行う部署 だと思っていたので納得がいきません。トラブル解決に向けて協力してもらうのは当然だと思っていました。

そんなこんなで、空気が悪い状態が続いて私もストレスが溜まって行きました。

なぜ、そのようなことになってしまったというと、そもそも最初にチームが発足した時に責任部署がしっかりと決められていなかったのです。

打合せを主催していたのが ①システム開発を行う部署 だったので、そこが主幹だと私は思いこんでいましたが、そちら側にはそのような認識はありませんでした。

責任者が分からない仕事からは逃げるのもあり

私の部署が全ての責任を押し付けられそうになり、正に泥沼状態でした。

不具合が起きてから1ヶ月くらい、とにかく解決策を見つけ出すことに必死になりました。

そうは言っても私の部署だけで何とかするのは大変です。私はストレスがたまり体重もだいぶ落ちていました。

日々、何とかしようと動き回るもののどうすることもできない状況が続いていました。

絶望

そんな私を泥沼から助け出してくれたのは、ちょうどトラブルが起きてから数週間後にドイツの拠点から帰任したばかりの次長でした。

協力的でない他部署に対して、このような状況だと我々も何もらやらんぞ! と突っぱね返してくれたのです。

顧客への窓口は ①システム開発を行う部署 だったので、彼らも我々に開き直られては困るわけです。

つぎはぎながらも何とか皆で状況を立て直す方向に話しが進み、トラブルも解決していきました。

その私を助けてくれた次長が言っていたことで印象深かったのは、責任者が誰か分からない仕事には関わらなくて逃げてもいいということでした。

打合せに呼ばれても行く必要もない! とも言っていました。

まとめ

その時の次長の言葉は極論的ではありましたが、そういう考えもある程度は有りだと思います。

責任者がはっきりしない仕事にはできる限り関わらない方が良いでしょう。

そういう仕事は、物事が順調なうちはいいのですが、トラブルが起こると皆一気に逃げようとします。

どうしても関わらなければならないときは、まずは責任者を明確にするところから始めましょう。

それが自分の身を守るために最初にできることです。