私は大企業のメーカーで技術者(エンジニア)として勤めていました。
いわゆる社員(プロパー)でした。
※現在は大企業を辞めて自営業です。
大きな会社の場合、社内に派遣や請負で来ている人がたくさんいます。
何年も長いこと派遣や請負の方々と一緒に仕事してみて、感じたことを書きたいと思います。
特に請負の人について。
ゴメンナサイ、ちょっと厳しい意見も書いてしまうかと。
目次
派遣・請負は固有のスキルが高い人が多い
派遣や請負の方々は固有技術を持っている人が多いです。
私がいたメーカーの設計・開発の部署には以下のようなスキルを持った方々が来ていました。
・英語の翻訳
・CAD での製図
・C 言語によるプログラミング
・電子回路のテスト
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まぁ、そもそもその固有技術を買われて会社に来ているわけですからね。
英語の翻訳が武器で来ている人はあれば TOEIC で 700 点以上取っている人ばかりですし、
CAD のスキルで来ている人であれば、図面を書くスピードはものすごく速いです。
彼らの個々のスキルは社員よりも上です。
社員のような責任感はない
さて、スキルが高い人が多いのは確かですが、常にそのスキルを活かせる仕事ばかりをやるわけではありません。
特に請負の場合は、社員からやっつけ仕事のような単純作業を依頼されることもあるわけです。
私がいたメーカーでは会社の中に、そのメーカー専属の請負会社の人がたくさん常駐していました。
会社の仕事を全体で見ると、社員が重要な部分を担当して、請負の人は誰でもできる作業的なことをやる役回りでした。
私のいたグループでは工場の一角に実験設備を持っており、そこで実験を行うことが多かったのですが、
設備の周りの片付けをよく請負の人に依頼していました。
彼らだって技術者です。だけど頼まれる仕事に「片付け」があるとは。。。でもこういうことは普通です。
技術的な仕事を依頼されて対応する場合、彼らはどこか意味を理解していないことが多いです。
例えば先にあげた CAD ができる人は、確かに製品の図面を描くことはできますが、その製品の設計的な意味は理解していません。
そこを理解しているのは社員です。
請負の人は社員が考えたことを形にするための手足になっている場合が多いでのです。
彼らの多くはやらされ感が強く自分が任されている仕事が最終的にどのように役立つのかまでイメージできていません。
いや、そこまでのことをイメージしなければならない立場ではないので、当然と言えば当然なのかも知れません。
請負先の会社でやれることにはどうしても限りがあるのです。どれだけ優秀な人でも、社員と同じ立場では仕事できません。
業務全体で見たときに、最終的な責任をとるのは社員です。
社員から見たら外注の人ももっと責任感を持って仕事をしてもらいたいと思うことはたくさんあるわけですが、それを求められるのも辛いのかもしれません。
やる気がある人・優秀な人は転職して社員になるか独立した方がいい
請負という立場は、やる気がある人にとっては辛いかも知れません。
だって請負先での主役は社員だからです。
彼らの立場から見たら、社員の方が上位の仕事をしていることが分かるわけです。
仕事ができて色んなところに頭が回る人ほど不満を感じることは多いと思います。
より重要な仕事は社員の方がやっているけど、自分だったらこうするのに! という思いが湧いてくるからです。
世間的に請負法を厳しく見られるようになってからは大手メーカーの社内において、社員と請負は部屋を分けなければならなくなり距離ができましたが、
私がメーカーにいた時代の途中までは、社員と請負の人は近い距離で入り混じって仕事していました。
当時は社員と請負の人の席が隣ということもあり、本当に垣根がありませんでした。
その時代だと請負の人も、今よりももっと社員の仕事が見えたわけです。
社員と同じように成長していった人もいたわけです。
しかし、同じように仕事ができても自分は請負の立場なのです。それはどこまで行っても何年勤めても変わりません。
給料だって社員よりも全然少ないです。
しかも当時聞いたはなしではなりますが、なかなか昇給しないようです。。。
転職して社員になる
さて、優秀な請負の人がある程度経験を積んでから考えることは転職です。
より自分の立場が重要視される場所で働きたいと思うのは当然のことでしょう。
私が見たところ、優秀な人はだいたい 30歳過ぎぐらいで転職して正社員になっていました。
技術系なので、どこかのメーカーの社員(技術者)になる道が残されています。
当時リーマンショックが起こってからしばらくは情勢が変わり転職も厳しくなりましたが、景気が悪くなければ求人はあります。
転職して社員になる選択は、すごく正しいことだと感じていました。今でもそう思います。
あと、あまり大きな声では言えませんが、当時私がいた部署に請負で来てた人がそのまま社員になったケースもありました。
全ては聞いただけの話ではありますが、その人は私がいた部署の部長に直談判したようです。
「この会社で仕事を続けたいけど請負としてではなく、社員としてやりたい」
と。
優秀な人だったので部長はその人を社員にしたいと考え、人事部に取り計らったようです。
そして、その請負の人は内密にはなしができた状態で自分の会社を辞めて、一応は中途採用の面接を受けて私がいた部署の社員として入社してきました。
一歩間違えば契約違反にもなりかねませんが、このように請負先の社員(偉い人)に気に入られて引っ張ってもらうという手もあるようです。
他の周りの請負の人たちは文句ブーブーだったらしいですけどね。
技術を活かして独立する
また、請負の人は冒頭に書いたように固有スキルを持っているのでそれを武器に独立することを考えてみるのも良いと思います。
特にプログラミングのスキルなどであれば、今の時代パソコン 1つあればオンラインで仕事をとって対応することも不可能ではありません。
独立して食べていくのは大変なことですが、若ければ失敗しても再就職できる可能性も高いです。
1つ言えることとして、社員はその会社でないと役立たないキャリアを積みますが、請負の人は外でも使えるスキルを身につけています。
これは本当です。
やってきたことの延長で独立できる可能性が高いのは社員よりも請負の方なのです。
なぜなら、固有技術を持っているからです。
まとめ
大手メーカーの中には、社員、請負の人がいてちゃんぽんのようになっています。
間違いなく言えることとして、会社の主役は社員です。
請負である限り、請負先の会社で自分の立場を上げることはできません。
(先に書いたように、請負先の会社に引き抜いてもらえる可能性はゼロではありませんが)
自分は十分な能力があるけど立場に不満があるという人は、転職または独立を考えてみることをお勧めします。
それが私の結論です。
独立はやろうと思えばいつでもできますが、転職は景気がいいときでないと難しいです。
景気がいいときに転職活動をしないでいて、後で景気が悪くなったときに転職しておけばよかったって言っている人をリーマンショックの時代に何人か見ました。
チャンスに敏感になり一歩踏み出して頂きたいです!