大企業は事業規模が大きく従業員数も多いので仕事は組織的なのに対して、零細企業はヒト・モノ・カネというリソーセスが限られているため仕事が属人的になりがちです。
零細企業では、良くも悪くも仕事が個人に依存しがちなわけですが、従業員の立場からすればうまく行けば、自分の裁量を存分に発揮して楽しむことができるということになります。
今日は、このあたりのことについてお話しさせて頂きます。
目次
仕事を任せてくれる社長の下での仕事
零細企業の社長にも色々なタイプがいます。
●ある程度従業員に仕事を任せてくれる人
●従業員に裁量を与えほぼ仕事を任せきっている人
など。
ワンマンな社長の下で働くとなると、向上心の高い人は辛いでしょう。
零細企業では社長との距離が近い分、このような場合の窮屈さは大企業で働く以上になると思います。
逆に、仕事を任せてくれる社長の下だと、向上心の高い人は仕事を楽しめる可能性が高いでしょう。
もちろん社長からの指示は受けることにはなりますが、零細企業ではある範囲の仕事を全部自分でコントロールできる環境というのがあり得るのです。
例えば、経理の仕事を一手に引き受け完全に任されている人など、けっこういるように思えます。
また、小さな町工場の熟練工で加工技術で右に出る者がいない人も知っています。
大企業だとそのように完全に仕事を任せてもらえることはまずありません。必ず直属の上司がいて、毎日の報連相があります。
ですので、個々人の満足度が得られる可能性があるのは大企業よりも零細企業でしょう。
自分の存在意義を仕事で確かめたい
1人の人間に仕事が依存してしまうことは、組織としては問題が無いとは言えません。
その人が不慮の事故で亡くなったりしたら、すごく困ることになるでしょう。
ただ、そこで働く従業員にとっては組織全体のことはどうしようもないことでしょう。リスク対策を考えるのは社長の仕事です。
零細企業で自分が満足できる環境が手に入ったら、一従業員の立場としては良いことなのではないでしょうか。
「嫌な仕事でも耐え忍んで高額の給料を貰うことが大事!」と考える人にとっては、零細企業よりも断然大企業の方が向いているでしょう。
一方で仕事で自分の存在意義を確かめたいという考えの持ち主であれば、零細企業の方が満たされる可能性が高いと言えます。
会社が小さいと事業全体がよく分かりますし、大企業よりも業務範囲がくなるのが一つの理由です。例えば、営業職であっても請求書を発行したり、購買もやったりと多くの経験を積むことになります。
また、先にも書きましたように、裁量を与えてくれる社長の元であれば自分の仕事のことは自分で決めることができます。
何とかして、そういう立場を確保できる会社を見つけて頂きたいです。
また、自由な仕事の仕方を求めるとなると究極的にはフリーランスに行き着くかと思います(収入の心配はありますが)。
零細企業で自分の裁量を存分にはっきりしている人の例
さて、私が知っている「零細企業で自分の裁量を存分に発揮している人」の例をあげてみたいと思います。
経理を一から十まで一人で担当する人
2つの拠点を持つ自動車整備会社で、経理をすべて担当している人を知っています。
会社の経理の仕組みをほぼゼロからその人が考えたようです。
元々は簿記・会計の知識を持っているのが、会社で雄一その女性だけだったので任されるようになったということです。
高齢なのに PC に対するアレルギーもなく、会計ソフトも使いこなしています。
会計的に会社の取引形態が特殊なので、なかなか同じスキルを身に付けるのは大変なようで替えがきかない人になっています。
会社の売上の半分を上げる人
年間の売上高が1億円以上の、エクステリア会社の一従業員で、売上の半分を上げている人を知っています。
零細のエクステリア業なので、営業、図面の作成、現場作業の全てを個々のの担当者が行うのですが、その同時に多数こなせる能力がある人です。
そういう人材になるまでには20年くらいはかかったとか。
実際、その人が病気で長期間働けなかった時期は会社の売上が大きく下落したそうです。
再び仕事に戻ってからは、会社の業績が V字回復したという、正に会社にとって生命線となる人材です。
社内の IT 関係業務を全て担当する人
ある会社のオフィスの IT 関係業務を全て担当する人も知っています。
他に IT に詳しい人がいないということです。
PC の導入やサーバー・ネットワークの設計などは全てその人が仕様を決定していますし、また社内の業務を効率化するために Excel(マクロも)で自作のツールを作って他の従業員に提供しているようです。
その人がいなくなったら、IT に関しることはたちまち立ち行かなくなることでしょう。
小さな町工場の熟練工
昔大企業(大手メーカー)にいたときに、取引先で小さな町工場ありました。
加工技術が優れており、一人の熟練工(高齢)の人がほぼ一人で加工の仕事をしていました。
精度が高い試作品を作る必要があるときには、必ずそこに依頼していました。周りにそれだけ細かい加工ができる会社が無かったからです。
確かな技術力一つで、大企業の従業員(当時の私も含め)からも信頼されるという、かなり凄い例だと思います。
会社もかなり儲かっていたと思います。
まとめ
仕事に何を求めるかは人それぞれです。
自分が何を優先したいかをよく考えましょう!
そして自分が求めるモノが手に入る、あるいは入る可能性がある職場で働けることが満足に繋がるのではないでしょうか。
仕事を生き甲斐とする人にとっては、零細企業の方が大きな組織と比べて、満たされる可能性が高いと思います。