大企業の従業員は、自分の社内キャリアを考えさせられます。
会社にごと呼び方は違うと思いますが、私がいたメーカーでは「キャリアデザイン」なる考え方があります。
半年に1回、自分の今後のキャリアを自分で考えてキャリアデザインシートに書き、それをベースに直属の上司・そのさらに上の上司と面談が行われていました。
目次
自分の社内のキャリアについて考える機会
私はメーカーに勤務する技術者だったので、技術者の立場でのキャリアを考えることになります。
そして、キャリアデザインシートに例えば
・今は部品の開発をやっているのが、2年経ったらシステムの開発をやりたい
・開発を後3年やったら、今度は流動品の設計をやりたい
・5年くらい先にヨーロッパの拠点で海外勤務がしたい
など、自分が社内で思い描くキャリアであれば、わりと自由に書いて上司に話すことができました。
自分が希望するキャリア通りにはならない、あくまで会社の事情が最優先
ただ、いくら自由に自分のキャリアを思い描いても、その通りになるとは限りません。
いや、むしろ自分が思い描くキャリア通りにしてもらえることの方が稀です。
大企業には8年間いましたが、私自身のキャリアデザインで聞き入れてもらえたのは、自分の業務をその時所属していた同じグループ内の別の業務に変更するというものだけです。
何とも小さな変更ですよね(苦笑)
別の部署への異動や、海外拠点への異動などはそう簡単に叶えてもらません。
叶えてもらえても自分が望むタイミングで望む場所に行けることはまずありません。
会社内での異動の理由は、ほぼ間違いなく会社都合で決まります。
(ある上司とそりが合わなくてうつ病になりそうなどの特殊な事情があれば、その上司の下を外してもらえるなどの措置がとられることはありますが。)
自分の望みと会社が自分に望むことは違うわけです。
ですので例えば、
・自分は海外勤務などまったくしたくないのに、会社としてはその人に海外で修行を積ませたいから出向させる
・何十年も同じ仕事から変わることができない
・何年か後に呼び戻される予定で部署を出されたけど、時が来てもお呼びがかからない
などということはザラにあります。
ですので、大企業で働き続けるのであれば自分がどの業務につかされてもかまわない、あるいはサラリーマンだから望まない仕事でも仕方ないぐらいの気持ちを持ち続けていないとやってられません。
高い給料とのトレードオフなのです。
会社を辞めると宣言したら希望を叶えてやるという甘いはなしをされた件
私自身の実話を少々。
私は、学生時代は社会人になったら海外勤務をしたい! と考えて英会話教室に通ったり、TOEIC の勉強をしたりしていました。
そして、大企業に入ってからもキャリアデザインシートにはずっと海外勤務を希望する旨を書いていました。
しかしその希望は叶えられませんでした。
会社としては、私は開発・設計部隊の一員として本社で働くことに適性を見出したようです。
キャリアの希望が叶えられないことはもちろん不満でした。
それだけではなく、上司が「来年お前にこれを担当してもらう!」とあらかじめ宣言されていた業務内容すらその通りにはならないという。
約束なんてあって無いようなものでした。
また、昇進の制度にも不満があったので、最後の方は色々と不満だらけだったわけですね。
このままでは「自分は干されてしまう」と感じてだんだんと実家の家業に気持ちが傾いて行きました。
上司に会社を辞めることを告げると、引き止め作戦がはじまりました。
上司が提案するには、私にイタリアの拠点で海外勤務をさせると言うのです。
これまでも上から言われたことは守られてこなかったのだから、今回も出まかせだろうと思っていました。
しかし、部長まで出てきて海外勤務に向けて人事部に推薦状を書くとまで言い出したのです。
イタリア行きを間違いなく約束できると。
部長がそこまで言うとなれば、さすがに嘘は無かったと思いますが、一度会社から離れた気持ちは戻りませんでした。
まとめ
大企業の従業員は希望を胸に抱いて働いている、と思っている人が多いのかも知れません。
しかし、現実的には嫌なことでも我慢しながらやっている人がほとんどです。
会社そのものは輝いて見えるし、そのことは間違いないのですが、皮肉な言い方をすればその輝きはそこで働く従業員の尊い犠牲によって放たれているものなのです。